ライディングの解説で、押すとか、引くとかとかいう言葉が使われますね。

あるいは加重するとか抜重するとか荷重とか。

これがいかにあやふやな表現か説明してみます。

場面はサーキットでオートバイがフルブレーキをして、倒し込みのために当て舵をするまで。

登場するのは、オートバイと路面と上半身。(下半身は説明が複雑になるので割愛)

説明内容は、この想定場面における腕周りの働きや運動を物理的な専門用語を使って説明します。(式には触れません)。

使用する専門用語は次の通り。

  • 摩擦スライダー(摩擦係数)
  • バネ(バネ定数)
  • ダッシュポッド(粘性減衰係数)
  • 位置ベクトル(r)
  • 質量(m)
  • 重力加速度(g)
  • 慣性モーメント(I)
  • 接触力(fc)
  • トルク(t)
  • 角速度(w)
  • 慣性(g)
  • 速度(v)
  • 角加速度()
  • 流体力(ff)

加えて、次の用語も

  • サスペンション
  • ダンパー
  • イニシャル
  • ハンドル
  • フレーム
  • ボディ
  • 押す
  • 引く
  • 加重する
  • 抜重する
  • 荷重
  • 加減

 

始める前に簡単な実験を行い理解を深めてみましょう。

家庭でできる腕立て伏せで実験してみましょう。

基本の基 サスペンション > 腕 (加減)

掌で体重を支えるのではなくこのようにグリップする方法が手首を痛めないのでお勧め

 

まずはあなた(ライダー)と協力者との二人で行います。

実験1

  1. あなた(ライダー)が腕立て伏せをします。
  2. ライダーは真ん中あたりの体勢で止めます。
  3. 協力者はその体勢のライダーの頭や肩、首のあたりををつかみ、強弱を変えたりスピードを変えたりして上下左右に動かそうとします。ライダーはそれに耐えてください。
  4. 協力者はライダーがびくともしない状態から、耐えかねて動いてしまう状態まで、力加減を変えて試します。

最初の実験は以上です。

この状態の腕の動きや役割を、オートバイのサスペンションのパーツに置き換えて振り返ってみてください。

ライダーの腕をサスペンションに置き換えられると思います。

そこでは、例えばフロントサスと同じように、バネレートや粘度や減衰係数やイニシャルなどが存在し、

外部からの力としては、重力や加速度や慣性として置き換えられたと思います。

そして、その外部の力に耐えるときの力は一定ではないことに気がつくと思います。

立派なアクティブサスペンションですね。

多分その力加減は無意識に行っていると思うのですが、それを、できればコントロールするつもりで意識してみてください。

 

実験2

  • 実験1を、停止する位置を変えて試してみましょう。

完全に伸ばし切ったリジッド状態から、ほとんど伏せた状態までです。

位置によりバネレートや減衰係数が異なることを感じ取れると思います。

 

実験3

  • 実験2と同じような方法で、今度は腕立て伏せではなく、壁に寄り掛かる程度でそれぞれ試してみましょう。

腕の力量(ポテンシャル)の関係からくる、質量は同じでも重量が異なると減衰係数が大きく異ることを感じ取れると思います。

 

 

実験4

  • ライダーは協力者の動きに耐えるのではなく、なるべく従うように試みて実験1〜3を試してみましょう。
    協力者がなるべく少ない力で動かせるようにライダーが補助してあげます。

同じアクティブサスペンションでもより高度なコントロールが要求されていることを感じ取れると思います。

 

まずはここまで。

 

どうでしょうか。

自らの腕がダンパーになったり、スプリングになったりしているわけですが、

抵抗するのであればまだ直観的ですが、相手の動きに合わせようとしたときはどうでしたか?

たぶん(個人差が大きいと思いますが)、

最初はどう対処してよいかぎこちなかった動きも体が覚えて、理解してくればスムーズに動くようになってきたのではないでしょうか?

で、その時の頭、頭脳が何を、どう考えていったのかなど、経緯を覚えておいてください。

 

そこまで行ったら仕上げの実験です。

実験5からは一人で行えます。

実験5

  • 一人で腕立て伏せを行い、左手で体を支え、右手で体を立てたり伏せたり上下に動かしてみます。

最初の頭脳の混乱しているところから、それに対応していくところを、興味深く観察してみてください。

支えるだけの左手が、余計な動きをしたり、体の他の部分が補助したり、頭がむずむずしてきたり。

 

そして、最後の実験。

 

実験6

  • 実験5のように右手と左手で役割を分配するのではなく、両方の腕で同じような役割をもたせて動かしてみます。
  • ついでに左右の重量バランス(荷重)を変化させることも試してみます。

 

さて、本題の説明はというと、

この実験そのものが想定場面のでの腕の動きの家庭版であり、そのまま説明とさせていただきます。

協力者を外部からの力や慣性や重力に置き換え、自力で動こうとすることそのものをライディングと置き換えてもみてください。
若干の違いがあるにしろ状態を把握・理解するには十分だと思われます。

 

ということで、

各実験をとおして、はためには押しているという行為にも、いろいろな種類があることが感じ取れたでしょうか?

例えば、

インプットは

  • 慣性(加減速など)
  • 重量
  • 自力(体重移動など)
  • 外乱
  • 内乱

そしてアウトプットは

  • 加重する
  • 耐える
  • 硬直させる
  • 減衰係数を変える
  • バネレートを変える
  • イニシャルを変える
  • 時間差を作る
  • 荷重を変える(荷重配分を変える)
  • 伸身抜重を行う
  • 屈伸抜重を行う

これらを総じて加減といえばよいでしょうか。

今回は腕を例にとり説明しましたが、脚でも腰でも同じようなものです。

実験は押す側だけですが、引く場合でも同じような結果が導かれることでしょう。

この中で抜重に関して。

普段何気なく多用している「抜重」は、実際に行うときには「伸身抜重」と「屈伸抜重」のどちらかを選んで行っています。

特に意識なく行っていたとしても、どちらかを選択しているはずです。

そして、それぞれでタイミングやポイントは全然異なるし、各動作による挙動は大きく異なります。

それを本人がどちらで行っているか不明な状態ではタイミングやポイントを正しく管理できてるとは言えません。

また効果、挙動が異なるので正しく使い分ける必要があることがおわかりになったと思います。※

 

そういう意味では両方の抜重を使いこなせる必要があり、その際には『雪道の歩き方』で紹介した、

普段使用していない筋肉の積極的な活用が有効になってきます。

 

そして、単純動作ではなくアクティブに動かそうとした時の頭脳の混乱を思い浮かべてください。

これは赤ちゃんが「立っち」ができて、初めて歩き出す時の混乱に近いと思いませんか?

こういう場合は「頭脳」より優秀な「体」に覚えこませるしかありません。

それか、筒井康隆の力を借りるか!

 

まだまだ電子デバイスではなく亀の子デバイスでもなく人の子デバイスに優位性があります。

「豊富な経験により修得済みのトップライダーたち」を追い抜けるように、効果的に習得しましょう。

 

以上、
基本の基 サスペンション > 腕
でした。

物理の専門用語は全然使いませんでしたね。

 

腕立て伏せではなく、
実際のブレーキング時の耐え方、移動の仕方、ブレイクの仕方、当て舵の仕方とかはまた機会がありましたら触れてみたいと思います。

 

ライダーは立派なアクティブサスペンション(人の子デバイス)。 SBK界ではこれ?

ライダーは立派なアクティブサスペンション(人の子デバイス)。
SBK界ではこれ?

 

※屈伸抜重と伸身抜重の説明をしていませんでしたね。
スキーの切り返しのアレが伸身抜重です。
屈伸はしゃがみ込むのでワンショットで高度と言われますが、難易度はそれほどでもありません。

当然加重にもあてはまり、強いて言うとと荷重にもありえます。
またの機会に説明するかもしれません。

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