進入時のテールスライドが必要な理由 その5 最速のトド復活

進入時のテールスライドが必要な理由 その5

進入スライドの利点

進入スライドは見た目の派手さだけではなく様々な利点があります。※

それらを物理的な面と、精神的な面をそれぞれ説明してみます。

進入スライドの走法そのものは以前に説明しているのでそちらを見ていただくとして、⇨ テールスライド

めでたく進入スライドができるとこんな感じになるだろうということを説明します。

ちなみに、とりあえず、進入スライド状態に近いような状態は次のようにすると作ることができます。

なんちゃって進入スライド(走法X)

方法は、リアタイヤの向きをチェーンアジャスターの調整で斜めに向けてしまうことです。

ただし、非推奨ですし、エキセントリックのタイプでは色々マズイので絶対試さないでください。
それでも、練習走行などでチェーン調整を失敗した時には、1周回ってピットに戻る間時までに試すことはできます。

リアタイヤの向きが例えば右方向に向いてしまっている場合は、左コーナーにおいて侵入スライドっぽく感じることができます。

ぽいという表現なのは、物理的に同じではないからです。

倒し込みが楽になり、旋回性も向上したように感じられ、旋回時のマシンの向きもより旋回方向に向いているように感じられるかと思います。

対して右コーナーでは逆の兆候が現れることでしょう。

そして肝心なのは、リアタイヤが正しく正面を向いている時は、この左右の違いの中間であるということです。

もしかしたら、マシンの持っているそもそもの特性をはっきりと感じ取ることができるかもしれません。

物理的優位性

進入スライド状態の時には次のような利点があることでしょう

  • リアタイヤで減速できる
  • 重心を低くできる
  • 旋回方向を向くことができる
  • 旋回性が上がる
  • バンキングがスムーズになる
  • バンク角速度が上がる
  • タイミングが取れる
  • コーナーエンドから進入にかけてで、ライバルを抜ける
  • ライバルに煙たがれる
  • (アクセルオンのタイミングが不明なのでその件は書けません)

レース的優位性

先ほどの物理的優位性は、それが必ず、勝利につながっているかというと疑問な面もあります。

レース的優位性とは例えば次のようなものです。

  • 勝てる
  • 抜ける
  • 速い
  • 戦意喪失させる
  • 負けない
  • それなり

それぞれそれなりに効果はあるにしても、レースは競い合いなので、走法そのものも他との比較になります。

他にもっと良いものがあればそちらを選択したって良いし、代えがたい利点があればこの走法をマスターする価値があるというものです。

私見では、進入スライドは進入ではほとんど他と比べメリットはなく、メリットは進入スライドが終わる頃に訪れるのではないかと感じています。

わかりやすいライダー(マルケスのライディング)でいうと、ずば抜けたセンスとタイミングで一発でアクションを決めるマルケスが、所によりコーナリングで2段寝かしを行っている場面があります。

見た目にも普通のハングオンのフォームからリーンインというかミニバイク乗りのマッチ棒振り子走法みたいに体をさらにイン側に落としていく場面のことです。

ここで何が起きたかというと「もっとバンクして良い状態になったのでさらにバンクさせた。」という身も蓋もない答えです。

というと当然のツッコミとして。「進入スライド(もはや進入ではないのでテールスライドです)ではないグリップ走行でも同じような走りはあるじゃあないか」というツッコミが出てきますが、それとはちょっと違うのです。

完全なグリップ走法で2段寝かしを行う場合は、芸術点30点なので論外として、パワースライドしつつ体をインに入れる場合であればそれはそれでベストなライディングかもしれません。

しかし、その芸術点の高さでいうとそれほどの点数にはならず、現状それで誰かに勝てたとしても、それを目標とするのにはイマイチで、それでは持っている芸術的ポテンシャルの高い羽生結弦には一生追い抜けないことになります。

 

それと、実際には体を残してバイクを起こしていることもあるので要注意です(オンボードカメラの映像はバンク角がわかりにくい時があります)。

ここで話が逸れて(3戦のフリー走行見ながら書いているので)最近のマルケスですが・・・

右足が故障しているのか、右側転倒恐怖症なのか、リヤブレーキと格闘中なのか、はたまた別の理由なのか、右コーナーが残念な感じですね。

その右コーナーのライディングが皮肉にも映像的にはたくさん使われていますが…(アグレッシブっぽい)

バンク角がだいぶ違います。

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対してロッシが昨年の同時期に比べて、切り返しも含めてアクションも速くなってるしバンク角も深いし、確実に進化しているように思えます。
切り返し時などのアクションが、マルケスやペドロサやロレンソに比べて遅く見えるのは、その分シート荷重の比率が多いだけのことでしょう。
(そういう意味で「切り返し」ではシート荷重はもたつくし、引っかかったりするので他の軽量ライダー乗りの方が適切)

 

とはいえ、昨年よりは皆ライディング(ライディングフォーム)が格好良くなってきたと思いませんか?

 

昔の、ローソンとかのハングオンっぽくなってきたと思いませんか?

ローソンとかの昔のハングオンのフォームっぽくなってきたと思いませんか?

写真はMotoGP.comより

 

ポテンシャル量とパフォーマンス量

で話を戻すと、

パワースライドにしろ、減速スライドにしろ、限界を超えたスライドにしろリアタイヤの位置がより外側になることで、フロントタイヤとの荷重配分がよりリヤ側に移ります。

この状態を、マルケスのライディングで、例えばタイヤのトラクション量で、表現してみると次のようになります。

フロントタイヤが100トラクション、リアタイヤが30トラクションで、合計130コーナリングで侵入し、リアタイヤのトラクションが安定してきてポテンシャルが120トラクションになってきたので、220コーナリングをすべくさらにバンク角を深くした。

侵入スライド走法が上記のようになったとして、普通の温グリップ走法やパワードリフト走法はどうかというと、

グリップ走法では荷重配分的にリアタイアのポテンシャルが100を超えることがない(重心位置が中心で、リアタイヤの方が太い場合)。

パワースライドでは、スロットルオンのタイミング的な非効率な点があることと、通常リアタイヤに加速方向のモーメントが働くことのライン的な制約を受けることになり、活躍の場が限られる。

と言えたりします。

 

具体的にどの走法を選択すればいいかというと、まずは正しくタイヤの持っているポテンシャル理論値と、それぞれの走り方によるポテンシャル理論値と、ライダーが発揮できるポテンシャル値を想定します。

そしてそれらと、コースライン上にそのポテンシャル値を当てはめていくと、目指すべき走りと、とりあえず正しい選択と、やっても非効率な走りが見えてくることでしょう。

そうしてみると、圧倒的に潜在的なポテンシャルでは圧倒的に高得点なのですが、実際のパフォーマンスが著しく低いのが「進入スライド走法」と言えるでしょう。

この走法に必要なのは思い切りの良い素早いバンキングです。

これはMotoGPの車両重量を鑑みるとよっぽど高性能なマシンか、腕力を含めた優れたライダーが必要といえると思います。

これは軽量ライダーとの組み合わせでは難しいと言えるでしょう。

やっぱりスペンサーのような天才ライダーか、あるいは「最速のトド」とか、歩くドラム缶とか散々な呼ばれ方をしながらも愛され、踏み台がないとマシンに股がれなかったあの伝説のライダー「阿部孝夫」のようなライダーの出番ではないでしょうか?

 

やっぱレースはワンパターンではなく様々な勝ち方があっていいと思う。

トラクション走法において彼に勝るライダーは今の所現れてない!

トラクション走法でスライドさせればトドに金棒!

 

最速のトド

阿部孝夫

世間の扱いがさびいしいので改めて紹介しておきます。

走りの面白さに加え、知的で的確でブレないライディング理論には定評がありました。

阿部孝夫

昭和22年4月10日(1947年)、北海道旭川市に生まれる。
高校卒業後に本田技研、スズキに移ってから2輪のテストライダー兼社員ライダーとしてレースを始める。
その4年後にカワサキの契約ライダーとして5年勤め、再び本田技研(HRC)に戻り、3大メーカーのファクトリーマシンに関わったとして有名。
80kg台の体重で40kg台のライダーとRS125で競い合ったりしてしまうわけです。
引退の理由に125チャンピオンの一ノ瀬憲明の自殺が絡んでいたかも
15年間の期間中優勝15回。
鈴鹿8時間耐久ロードレース のリザルト:
1983年:不明
1998年:リタイヤ 水谷 勝/阿部 孝夫 SUZUKI GSX-R750 チームライディングスポーツ
1999年:24位 水谷 勝/阿部 孝夫 SUZUKI GSX-R750 チームライディングスポーツ 8:04’05.771
引退後は魚師として有名に。

2007年4月11日午前11時34分浜松市内の病院で死去しました(4月12日説もあり?)。
相性は「世界最速のデブ」「走るドラム缶」「最速のトド」「アベちゃん」

阿部孝夫

関連記事は 自然山通信 とか 二輪文化を伝える会 とか

 

 

結局のところ

親友スライド走法というのは、街乗りでは危険すぎて出番はなく、かといってサーキット走行であれば誰でもできるという簡単な走法ではないようです。

であれば、「侵入スライド走法というのは速いらしい」という一般ライダーの憧れと、「見た目が派手だし格好良い」的な興行目的てきには今後も発展していって欲しいとは思いますが、肝心の当事者はこれらの事情には当てはまらない時もあるでしょう。

進入スライド(走法)には次のような特徴があります。

  1. 精神的優位
  2. 物理的優位
  3. 技術的難易度が高い
  4. タイム短縮
  5. タイム損失
  6. 転倒
  7. 派手なライディング
  8. メディア受けが良い

これらが示しているのは、ライダーにとってもメディア的にも魅力的ではありますが、チャンピオンシップの成績的にはリスキーであるということです。

正しい選択肢を選ぶにあたって、すべてをライダー任せにしてはいけない場面でもあるということですね。

 

ということで、進入スライドの発展系はロッシの後継者か阿部孝夫の生まれ変わりに期待ということです。

では

 

進入時のテールスライドが必要な理由 でした。

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※侵入スライドの利点をさも知ったかぶりして語っておりますが、その走法を実際にロード路面では、試したことすらないことをお断りしておきます。

そのため、大きく誤っていたり、具体的な割合についてなども妄想でしかないことをご了承ください。

 

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