転倒の仕方と峠の膝擦り小僧乗り

転倒の仕方と峠の膝擦り小僧乗り
転倒の仕方の練習
GPライダーに限らずロードレースのライダーは(多分)わざわざ転倒するようなメニューをわざわざこないしている方は少ないと思います。
大抵のレーシングライダーは好むと好まざるに関係なく嫌という程転倒経験があったりします。
しかし、たとえ経験豊富だと自負することはあったとしても、その転倒パターンを実際に再現しろと言われたら、ごめんこうむることでしょう。
なぜなら、なんてことのない転倒でも、致命的な怪我を負うことがあることを、十分見聞き、あるいは経験しているからです。
転んでみなければわからないということです。
では、レーシングライダーは転倒に関して何も準備も練習もしないか、というとそんなことはありません。
GPライダーとは、たまたま幸運だったライダーと、怪我にビクともしないライダーと、準備を周到に行っているライダーたちの集まりと言えると思います。
それ以外のライダーはたとえ才能があったとしてもここまで来れなかったと言って過言ではないでしょう。
そして経験を積んだライダーは自身のポジションを維持すべく例外なく、バランス感覚や操作方法を高めるトレーニングなり練習を行い、転倒してもなるべく怪我をしないように柔軟性の確保や受け身などをなるべく転倒の影響が軽微で済むように努力しています。
マルケスにしても、走りのセンスだけではなく、そのポジションに居続けるための努力は尋常ではありません。
そして、忘れてはいけないのがプロテクターの存在です。
プロテクターの存在価値
このライダーが身につけるプロテクターにより体の損傷を最小限に済ませられることができ、負傷することなく、またレースに復帰できたりするのですが、プロテクターの存在意義はそれだけではありません。
実はプロテクターはプロテクトしている箇所を守るだけではなく、それ以上の効果を発揮しています。
プロテクターの役割
プロテクターを装着することで次のような効果が生まれます。
- プロテクト箇所のプロテクト
そもそもの役割ですね。 - レース続行
転倒の損傷によりライダーの安全が確保できない場合には走行することができなくなります - プライオリティの明確化
プロテクターの効果を認識するにつれ、転倒時に地面に差し出すパーツ(手足のこと)に優先順位をつけて安心して差し出すことができるようになります。 - プロテクター以外の箇所の保護
プライオリティの明確化の結果、プロテクトされていない箇所や、損傷の度合いが高いパーツ(頭とか)を守ることにつながります。
蛇足ですが警視庁公開のバイクの交通事故の死亡率の資料でも、手、足、肘、膝を損傷している場合の死亡率が低いことが確認されています。
ということなので、機能性の問題もあることでしょうが、なるべく大事な箇所はもちろん、実はプライオリティの低い箇所のプロテクトといえるような効果もあるということです。
昨今では色々なプロテクターが用意されているので、必要十分なプロテクトすると良いでしょう。
私がレースを始めた頃は脊髄パッドが出始めの頃でスポンジにソルボセインを貼り付けただけの物(ヒロコノ製)だったり、もっと前の金谷英男選手の頃は、転倒したらグローブをはめた手のひらと甲を交互に地面をこすり火傷しないようにしていた(本人談)とか。
転倒の仕方
さて改めて転倒の仕方を考えてみましょう
上述のようにプロテクターの装着は装着箇所の転倒時のダメージを軽減してくれるだけではなく、相乗効果があることがわかりましたね。
加えてプロテクターというのは必要な状況に合わせて、軽微な装備にも重厚な装備にもできたりする利点があります。
例えば(実例)、転倒して手首を痛めたとします。
痛めたまま走行して、また転倒すると手首をかばってしまうので肘から着地するようになります。
さらに転倒すると肩から、最後はメットを地面にこすりつけて衝撃を減らそうとします。
そういう時に、痛めた箇所にプロテクターを装着したり(テーピングしたり)することによりヘルメットにまで至らなかったりするかもしれません。

頑張れ九州 頭擦り走法のくまモン
バンクセンサーの利点
上述の通り、バンクセンサーには利点を二つ紹介しました。
転倒するときにバンクセンサーが膝をプロテクトしてくれること、
そして、そう認識することで手首からではなく、膝から転ぶ選択肢の割合が増えたことです。
転倒時に手首と膝から転ぶのとではどちらの方がダメージが少ないかというと、比較した場合膝からの方がダメージが少なくて済みます。
それは落差による衝撃が少なくて済むからです。
そして、バンクセンサーの本来の目的である、バンク角をセンサーしているときにはさらなる利点が加わります。
最初から地面に膝が接地していたら、膝の衝撃のダメージはゼロになります。
膝だけではなく体全体が受けるトータルの衝撃も少なくて済むことでしょう。
以上のことから、たとえ膝をする必要がなくても曲がれるコーナーでさえ、まさかの転倒時のダメージは少なくて済むと言えます。
オートバイというのは常に危険と隣り合わせの乗り物です(四厘だってそうですが)。
そういう認識の上では、プロテクターの装着は自身の身を守り、そしてその結果周りへの迷惑も減らすという可能性ももたらしています。
ライディングフォーム的に見た転倒ダメージ
不幸にしてコーナリング中に転倒してしまうことになった場合、ライディングフォームによりライダーが受けるダメージの大きさの違いを比較してみましょう。
一番安全そうに思えるのはリーンアウトだと思います。体をマシンと地面の間に挟まれることもないし、頭も手も安全そうだからです。
もちろん場面によりリーンアウトの方が危ない場合もありますが、とりあえず先に進めましょう。
次に安全なのが私はハングオンだと思います。
地面に膝が近いし、もしも膝すりをしていたら転倒時の衝撃は格段に少なくなるしマシンとライダーが離れてくれる確率が高くなります。
次はリーンウィズ、さらに悪いのがリーンインだと思います。
理由はニーグリップしていたら膝が出ないからです。さらにリーンインしていたら手も出ないからです。
転倒することもあることを前提とした乗り物のオートバイの場合は、手足が先に地面につくことが、つけるようなライディングフォームが、総じて安全運転をしていると言えるのではないでしょうか。
そして転倒時そのものではなく、転倒した後のことを考えた場合、リーンアウトは転倒した後に、対向車や自分のマシンにひかれる可能性が高くなります。
最悪の場合対向車と自分のマシンとでサンドイッチです。
ハングオンの場合後続車に惹かれる危険性はありますが、対向車にひかれる方が速度差が少ないだけましでしょうし、惹かれるまでの時間は微妙に長くなります。
転倒した場所がサーキットでない場合はなるべく最短距離で停止した方が被害も迷惑度も少ないと言えるでしょう。
好き好んで転倒する
「誰も好き好んで転倒するわけじゃない」とか「好むと好まざると転倒してしまう」とかはよく言われるのですが、現実にはそれらに「好き好んで転びたい」のに「転びたくても転べない」のもオートバイだったりします。
こうなるとこの「好き好んで転倒する」は立派なテクニックであり、学問だったりします。
できたら嬉しいのがエンジンのキルスイッチに相当する「停止スイッチ」です。
しかし、もしこれを作ろうとしたらどうでしょう。
バイクだけ止まってライダーだけが前方に放出されても、いきなり前後左右の確認なしにあるいは空の彼方に放出されても、それが最善の方法だとはとても思えないし、それを開発するテストライダーは命がいくつあっても足りないことでしょう。
やはり、自力で「好き好んで転倒する」技を身につけられると自身の命運のバリエーションが増えるかもしれません。
しかし、例えばフロントブレーキの握りゴケは結果的にそうなることはあっても、転ぶことを覚悟して握れるライダーは少ないと思います。
それはそのあとの惨状が脳の中には焼き付いているからだと思います。
それとは逆の「アクセル全開コーナリング逃げ」はグラベルではお勧めですが、舗装路では逆効果なのでお勧めしません。
馬乗りの逆回転的な馬降りはお勧めですが一般に減速Gがかかっている場面ではできないでしょう。
ここまでは転倒してしまう時に膝から着地、あるいは設置している膝を擦りつけましょうという、転んでしまう時の対応方法でした。
では普通に転びそうもなく旋回中にはどうすればよいでしょうか?
この場合に膝をさらに地面にこすりつけても意外と転べません。
コーナリング中に無理やり転びたい場合は、ズバリ内足加重です。というか内足で蹴り飛ばしましょう。
その際はハンドルにはきっぱり別れを告げて単独で滑るほうがオススメです。
もしもこれで転べなかった場合は、そしてまだ生き残っていたら、このコーナーはきっと以前より早く走れるようになっているでしょう。
峠の膝すり小僧乗り
冒頭で述べた通り、ライダーは自分からなかなか転ぶことはできず、そして転ぶ練習もほとんどしていないという実情があります。
そこで脚光をあびるのが「峠の膝すり小僧乗り」です。
ですが「峠小僧」をあまり正当化してもよろしくないので以降はミニバイクコースでのポケバイ乗りの場合で説明します。
ポケバイ乗りというか、大人がポケバイに乗って走行すると膝は地面に着き放題なことでしょう。
ストレートでも膝を擦ろうと思えば摩れるのです。
これならうまくすれば膝を起点にバイクから振り落とされることが可能になるかもしれません。
膝ではなく普通に足(ブーツ)で良いじゃないかと思う方は、やってみればわかります(やってみてください)、大怪我すると思います。
この直線膝すり転倒から始めて、いろいろばバリエーションで転べるようになれたらきっと良いことがあります。
怖くてそんなことができないにしても、人間が生き延びてきた上で身につけた技として、「いらないパーツから差し出す」というのがあります。例えば雪山とかで凍傷になるのは「寒くて先端部が侵される」というよりは「トカゲのように生き延びるために手足を切り離そうとしている」だったりするアレです。
膝のプロテクターや膝のスライダーが装着されていて、うまくそれが機能する可能性があれば、人間は手より先に膝から着地するような行動をとるかもしれないということです。
その時にもしも「落ちなれ」していたら、よりその決断は早いかもしれません。
何しろ一番経験して、なおかつ生き残っている転倒方法だからです。
もしもブレーキ装置が壊れて壁に向かってまっすぐ突き進んでいる時にできること(できたら良いこと)は、曲がることではなく横に落ちることでしょう。
コーナリング中に転倒してしまうかもしれないと予想されるのであれば、峠の膝小僧すり走法は最善の選択と言えるのではないでしょうか?
そしていつかのその時のために、その走法を安全に行えるようにしておいて、何が悪いというのでしょうか?
って、悪いのは安全な練習方法が提供されないことで、なぜ提供されないかというと、それが悪しき乗り方のように言われていて、実際にそこで言われているようなデメリットが解決されていないからです。
大人?が解決してくれないのなら、であれば自力で安全な峠小僧乗りを確立してしまえば良いのです。
そうしたら世間の見方も変わってくるかもです。
そのためには、たとえひどく格好悪くとも、制限速度内の安全なスピードで、膝を突き出してもビクともしない安全なフォームを確立するところから…
そのためには、まずは、正当なハングオン(ハングオフ)から始めましょう・・・
公道は法律を守って練習するところ
結構な風当たりの膝すり小僧や峠小僧ですが、そもそもバンクセンサーを付けてもつけなくても運転技術に差はなくて、同様に付けてもつけなくても路面の状況には変わりはなかったりします。
そして2輪に限らず世の運転免許証は最低限のルールと、一通り道路を走って帰ってくるのに必要な最低限の技術しか教えてくれません。
街中を普通に運転するためには免許証交付後に長時間にわたって実地練習を行わなければ身につきません。
ということは、「お互いがスムーズに、そして無駄に事故にならないように、身を守るために、せいぜい勝手に実地練習してください」ということです。
そういう意味では(どういう意味でも?)公道は練習の場です。
世の中に(特に男)はおもちゃを与えたらそのおもちゃで1番になりたいという願望は捨てることはできません。
本来の目的がたとえただの移動手段であったとしてもです。
であれば交通安全センターとかでは、そういう普通の願望を叶えてあげたり、水たまりでのスリップ転倒とか、
あるいは本当に危険と思っているのであれば危険なハングオフ走行の体験とかを好きなだけ試せるような場所を提供して、その上で「公道ではゆっくり走ってね」と言ってほしいものです。
「サーキットがあるじゃあないか」というのは詭弁というか解決しない言い逃れで、初心者にこそ低レベルなうちに経験させると良いものとか、下手でも気軽に体験できるような施設の提供とかがない現実味はないと思います。
ダメだしばかりではなく、理解してほしいものです。
例えば30年前のスケートボードは練習場所がほとんどなく、峠の膝すり小僧状態でしたが、今はちょっとした公園にそれ用のスペースがあったりします。
峠の膝すり小僧乗りは時代の最先端
少なくとも戦闘機のパイロットは不時着して被害を少なくする道ではなく、脱出して助かる道を選んでいるように思います。
ということで、まだまだ練習されることの少ない「転倒の仕方」ですが忌々しい事故で少しでもその優位性が認められるのであれば、もう少しそのテクニックが広く伝わると良いと思います。
そして緊急時のデバイスも同様です。
もしも緊急時にリアロックでもさせた方が、少しでも障害率が低いのであれば検討の価値はあるでしょう。
そいういものが確立されないうちは、峠の膝すり小僧乗りは、転倒の仕方についての最前線を闊歩していると言えるのではないでしょうか
「無駄に地面に近い走法」ではなく「安全性に富んだ走法」とでも言えるのではないでしょうか※
※本サイトでは公道における危険な走行はお勧めしてはおりません。
やりたくてウズズしている事柄に対し、手ぐすねを引いて悪者の烙印を押すべく待ち構えるのではなく、正しく前に進むように努力しているサイトです。
ビギナーはこちら 膝すり走法
フォーム的には背中から見ましょう ハングオンのフォーム
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以上
転倒の仕方と峠の膝擦り小僧乗り
でした。
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