同じように見えることでも、「オーバーテイク」を手に入れられる場合と、遠ざけてしまう場合があります。
それは位置的な違い、時間的な違い。
うまく利用したものを後押ししてくれます。

今回は、ストレートの前のコーナーの、侵入から立ち上がりまでの説明です。

こんな感じで走ります。

ブレーキングを後らし、
前走車のイン側でブレーキングを開始し、
前走車のターンインの邪魔をしつつ、
ブレーキング、コーナリング、立ち上がりの作業をいつも通りに行い、
立ち上がりでよいポジションにつく、
そして、ストレートで抜きます。

抜いて抜かれて再び抜く
です。

はた目には、侵入で抜いてみたがオーバーランして抜き返された。
ところがなぜかストレートで追いついて抜いてしまった感じです。
なんかワイルドですが実際には緻密です(机上の計算通り)。

想定と数値的な情報は。こんな感じです。

侵入前のストレートエンドのブレーキングポイントで、5mの遅れで前走車にぴったりはりついています。
180Kmから90Kmぐらいでターンインして、ブレーキングの減速度が-2Gだとブレーキング時間1.2秒、制動距離45m位、50m看板からブレーキング開始です。※1
コーナーは180度ターン、コース幅15m以上、Rは50m位とします。

まず、いつもより0.2秒ブレーキングを遅らします。
通常が50m看板の位置からだと、0.2秒遅れでは40m看板の位置からのブレーキングです。
後走車は前走車より0.1秒遅れですので、前走車がブレーキングを開始してからだと、0.3秒遅れです。※2

ポジションそのままではぶつかるので、イン側に位置します。
ブレーキングを遅らす以外は、いつも通りのアプローチを行います。

ブレーキング中の前走車との位置関係ですが、計算上では、
前走車がブレーキングを開始した位置から0.8秒後の時点で、
前走車と後走車が並ぶことになります。
この時の前走車のスピードが約120Km、後走車は約142Km位です。

ここでとりあえず前走車と並びました。
しかしブレーキングは全然終わってません。
さらに、前走車よりも20m余計に走らなければいけなくなりました。
位置的ではなくタイム的には、この時点でもう0.3秒遅れ程になっています。
このままでは、次のストレートでは前走車とのタイム差が、0.4秒以上になってしまいます。
抜くどころではなくなります。

そこで、不本意ながら、自分ではなく、相手のタイムをいただきます。
並んだところから前走車がターンインをする予定の、0.4秒後のコース上には、邪魔者(あなた)がいてターンインをすることができません。
前走車は並んだところから、約11m進んでますが、後走車は14m進んでいます。
2mほど重なっていてターンインできないのです。

ここで前走車が90kmのまま速度をキープしたとすると、
5mの車間が開くまであと0.3秒かかります。
ここが前走車が0.1秒のリードを失った瞬間です。
実際には前走車は減速するであろうため、車間が開くまでの時間は0.3秒より短くなるかもしれません。
しかしその場合は、コーナリング速度が遅くなってそれ以上のロスをすることになると思います。
もしも前走者が優位性を放棄し、ターンイン時に後走車の後ろについてくれたら、めでたくパスすることができ万々歳ですが、ここではそうはならず、後走車の5m後方からいつもとおりのコーナリングを開始することにします。

結果、同時にターンインをすることになりました。
この状態でターンインを開始すると、前走者はクリッピングから2.5mアウトを走行することになり、後走車は5mアウトを走行することになります。

立ち上がり完了時の車間距離も5mになります。

これで90Kmの速度で5mの車間距離、立ち上がりの状態と同じ車間距離で立ち上がることができるようになりました。
この状態は0.2秒遅れなので、元々の0.1秒遅れよりも0.1秒失ってしまってますが、立ち上がりに向けては理想的な形となります(理想的な形のひな型)。

ただぴったりつくのは得策でないと以前説明しました。
あと2.5m距離を開けましょう。
0.1秒をロス(しかし有効に)させるためラインやスピードを変更し調整します。※4
立ち上がりの速度を2~3Km早められるラインがあればそれがベストです。
もう2~3メートル奥からターンインをするようにし、その分小回りをすることで立ち上がりのスピードを上げることができるかもしれません。※5
最低限同じ速度になるようにしましょう。

で、その結果立ち上がり時には前走車より約7.5mほど後方ですが、スピードは同じか、それ以上の状態になりました。
プラス、人間のムラが加減されます。
これで両者のタイミングがあった時に、ストレートでスリップストリームを使って抜くことができるでしょう。

まあ、簡単には行かないってことですね。

しかし、手間かけてますが無理はしていません。
実力をいつも通りに発揮し、ちょっとだけ邪魔をし、そしてストレートで同じく無理せずに抜き去ります。

ここで注意事項ですが、
侵入時での、この抜き方は前走者がびっくりします。
接触の可能性も高いでしょう。
こういう場合は真後ろではなく、コースの反対側とか視界に入りやすいところからアプローチするほうが安全です。
以前の合流の話です。
こういうテクニックも必要です。
いつもと違うところも走り、経験を積みましょう。

ところで、クローンである前奏者は、あなたと同じくらい学習します。
アプローチでイン側を閉めてくるでしょう。
その場合は悠々とブレーキの開始ポイントを10mほど奥にとり、いつもと同じように走ると立ち上がりでは0.3秒差のいい感じの位置につくことができます。
イン側を通ることで前走車の通過時間が長くなりそうだったらその浮いた時間でラインを調整し立ち上がりスピードをあげることに専念してください。
下手に接近してしまうのははよくないです。
こちらのがはるかに簡単なので相手にインを閉めさせてアウトから侵入するのが一般的ですね。
ただし立ち上がりで速度差を作り出す余裕はないのでストレートで抜ける確率は減ります。

とこんな感じにじっくりとチャンスを待ち仕掛けます。
たぶん皆の予想以上に頑張って、やっとのことで抜くのですが・・・
リアルな世界では他のテクニックやスペック差などを利用してもっと簡単そうに抜いていると思いますが、この説明はそういうメリットがない人には必要なテクニックだと思います。
どちらにしても実力以上のことはしていないのでレースの完走率的には良い選択だと思いますよ。
まあ身につけておいて損はないでしょう。
今まで以上に、楽に抜ける、あるいはチャンスが多く訪れるかもしれません。

お試しください。

ところで、
後続には注意してください。
立ち上がりで邪魔されてしまう可能性があります。
抜きたいのはあなただけではありません。
賢さもあなたが一番とは限りません。

では・・・

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※1
減速度はバイクは-2Gなんていきませんし、F1は-4G以上いったりしますがここでは-2Gで計算です。

※2
前走車より0.2秒間余計にアクセルが開いていることになり速度が変わることになりますが面倒なので180Kmで計算します。
全体的に計算方法や、計算結果の精度は重要ではないので、計算の説明は割愛します。

今回の「後らす時間」はこの組み合わせでのベストの時間です。
それ以上でも、以下でも駄目です。
危険になるか、無駄になるかです。
もちろん速度や場面により最適な数値は異なります。

それと、数値、計算に明らかに大きな間違いがあったら教えてください。

※3
加速度と走行距離、速度の計算は以下を利用しました。
適当に数値を入れて近似値を採用してます。
細かく計算はしていません。
http://keisan.casio.jp/exec/system/1161228700
もしも実際に計算する場合はエクセルで自作することをお勧めします。

※4
車間距離は、スリップストリームを使う使わないで、使う場合ではスリップの利き具合や使う場所とかで、最適な距離は異なる場合があります。

※5
ここでの具体的な走法は膨大すぎて書けないので省略します。
自身のテクニックを駆使してください。
またそれらを日頃から練習をしておいてください。
沢山のラインとその特徴を身に着けておくことが重要です。

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