スライド走法は、リアタイヤのパフォーマンスを下げることでフロントタイヤのパフォーマンスを存分に発揮させる走法です。

スライド走法ではなく、前後のタイヤのパフォーマンスを発揮させる走法があれば、当然そちらのほうがフィニュッシュラインへの一番乗りに、より近づくことが期待できます。

ということは、スライド走法全盛のうちは、まだまだあなたにも勝機があるということです。

キース・コードの書籍※の第一章を和訳してもらったところ、
「前後のグリップに合わせてトラクションを配分し、スムーズに走る」
というような趣旨の一節がありました。
※『Twist of the Wrist Vol. II: The Basics of High Performance Motorcycle Riding』

異論をはさむ余地はなく、もっともなのですが、実際にやろうとすると壁にぶち当たります。

スライド走法は、ケーシー・ストーナーの言を借りるまでもなく、繊細なコントロール能力と、
豊富な経験かこの場に適しているか判断する明晰な頭脳が必要とされています。

わざわざそうしているということは、前後を100%発揮させるどころではないのが現実なのでしょう。

そして、そういうわけなので、スライド走法が台頭してきているわけです。

実際の走法はもちろん、具体的な解説すら目にすることがありません。

「コーナリング時の前後タイヤの荷重配分」の、現実的な成功例が少ないのには理由があります。

たとえ理想的な解説が可能だとしても、他の要因が複雑に絡んでくるからです。

コーナリングには、純粋にコーナリングだけではなく、ブレーキングと加速が含まれてきます。
減速時にはフロントタイヤの依存度が高すぎることが災いしています。
同様に加速時にはリアタイヤの依存度が高まり、フロントタイヤは邪魔者になる場面さえあります。

さらにレーシングマシンの場合、加速時の重要な要素であるマシンパワーとタイヤのグリップの具体的な数値が不透明で、解説不能に陥ります。

かと言って、理想的な状態を知らずに、特別な状態のベストを語ることも難しいでしょう。

ではその理想的な状態について改めて考えてみましょう。

理想的な状態を知り、それに近づくべく、ライダーなり技術陣が努力しましょう。

ということで、
ロードレース環境での理想的な走法に向けた具体的な手立てについて、次回以降考えてみましょう。

ヒントとして、
数十年前スズキがRGΓでGP界に乗り込むときのコンセプトが「豹のような」というかリアタイヤを重視した走法だったような。

理想的な旋回を行っていると思われる参考競技として、スキーとオートレースがあります。
スキーは膝の屈伸やその他を利用して、いきなり雪面に対してコーナリングのベストな状態に持ち込むことができます。
オートレースもその独特な形状ととフォームにより、前後の荷重配分に成功していることでしょう(多分)。

ロードレースでは、それよりも優先したい固有の事情があるので、結局見た目も走法も別の路線にとどまっています。

続く

フランコ・ウンチーニ

基本の基:キースコード的>コーナリング時のタイヤへの荷重配分

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