リアブレーキとチェーンによるアンチスクワット効果

「加速時にリアサスペンションは伸び上がる」は間違いだ!

という方と、「そんなことはない」という方とおられますね。

現状では「加速時にはリアサスは縮み、加速時にリアサスが伸び上がるのは都市伝説だ」が体勢を占めているように思います。

本当にそうでしょうか?

 

アンチスクワット(新解明国語辞典)

あんちすくわっと【アンチスクワット】

通常ならボトム(スクワット)する場面をわざわざ逆らわせる仕組みのこと。

主に加速時のリアのスイングアームとフレームの関係を表しているが、わかりやすくリヤサスペンションの状態で言い表す。

リアサスペンションが縮む時をスクワット、それを妨げる力がアンチスクワットの力である。

実際には縮みを若干でも制御すればアンチスクワットと呼べるのだが、アンチアンチスクワット派はサスペンションが伸びることと極論してしまっていることで異を唱えることに成功している。

そうしてお互いがそれぞれの見解を世に広めているのが現状である。

 

転じて調べればわかることを放置することによって「男のロマン」を醸し出すこと。

オートバイ界において「加速時にリヤサスペンションが伸びる」という都市伝説における業界の対応のこと。

 

単純に物理的な事柄なので正しい解答は、実験すれば簡単に導かれるのにもかかわらず、現象発覚後?30年以上たっているにもかかわらず標準解答が存在しない。

その結果、巷には、高名無名な方々の見るも無残な解説が飛び交う羽目に陥っていて、もはや収集のつけようがない。

理由は先の「男のロマン」のためか、「些細な事だから」なためか、はたまた「答えを説明できないから」、なのかは不明である。

 

ぐぐっても出てこないのでこのように覚えて…

 

アンチスクワットの現状

参考までに、現状の解答は…

正しい意味でのアンチスクワットはバイクのジオメトリー通りなのでここでは割愛します

世論もここでは割愛します(引き舵参照)。

リアサスが伸びるアンチスクワットに関して

BMWのKシリーズでお馴染みのシャフトドライブは現実的に加速時にリヤサスペンションが伸びる方向にモーメントが発生します。

通常のスプロケットを介したチェーンドライブではモーメント事態は縮む方向に働きます。

しかし、関連する、稼働部分の設定により、シャフトドライブ、チェーンドライブにかかわらず、リヤサスを伸ばすことも縮めることも可能でしょう。
とはいえ、実際には目的に合わせて、あるいは可能な限り理想に近づく様に、適正な値に落ち着いているでしょう。
その適正値とは「あまり派手な挙動にならないこと」です。

結局、リアサスが伸びるようなアンチスクワットが見られるのは、BMWのKシリーズと、一部のオフロード車と、一部のフロントタイヤのフリクションロスが異様に高いバイクか、ものすごい加速力を誇るバイクのみでしょう。

そして世に言われているアンチスクワット効果は街乗りには不要です。

どちらかと言うとデメリットになりかねないので、今後も新たには現れないでしょう。

じゃあBMWは欠陥車かというと、K1300Rは新しい次元に踏み入れているような…

やってみる

頭のなかでできる実験をしてみます。

わかり易い例で説明してみましょう。

リアブレーキ

リアブレーキについてリジットタイプと、トルクロッドタイプで考えてみます。

リアブレーキを踏んでクラッチをつないでみる

更にわかりやすくするためタイヤと地面も固定されている場合で考えてみましょう。

リアタイヤと地面も、リアブレーキとブレーキディスクもロック状態です。

リアタイヤが固定されているので実際には動きませんが、半クラ加減が加速加減となります。

クラッチをつないでしまったら、回転数かけるギヤ比的な加速になります…(自責で)。

  • リジットタイプ
    リヤサスが縮む方向にボディが持ち上がる方向に働きます。
    もしも地面とタイヤが固定されていない場合はスイングアームが沈み込む場合もあります。
    この場合後輪とブレーキはロックしている状態にも関わらず、微妙に前進します。
  • トルクロッドタイプ
    フレームの接続位置により、一切リアサスが沈み込まないセッティングを行うことができます。
    ただしどのようにセッティングしても一切伸びることはありません。

これはなんの実験かというと、単純に加速した時にジオメトリー的に伸びる場合があるのか無いのかということの実験です。

結果

結果は書いてあるとおり「リアサスは伸びない」のです。

では「加速時にリアサスが伸びる」はありえないのかというと、そんなことはありません。

その場面では、条件が違うからです。

リアサスを伸ばす

方法は簡単です。

リアタイヤの進むスピードより、ボディ(フロントタイヤとフレーム周り)のスピードを遅くする。

これだけです。

前述したとおり?、通常のジオメトリーの場合でリヤサスを沈みこませる瞬間では、リアタイヤよりフロントタイヤのほうがスピードが速いという特性があります。

その特性を利用して、速度差が生まれた瞬間に、リアサスはめでたく伸び上がることもあるでしょう。

 

ここで

通常であれば「ありえない」と反論が来ます。

普通はここで行き止まりです。

 

これから先に必要なのは、アンチの方々の言う「通常」ではない要素を取り入れる必要があります。

これは、実際にバイクに乗るライダーには当たり前に備わっている要素です。

それは、サスペンション自体の持つ特性に、時間差と、位相差のあるモーメントとなどを加えて考えることです。

ガチガチの図面の上では起きないことが、凸凹道やサスペンションと外乱から生まれるウネリにより、生まれます。

さらに、いろいろな力加減のムラもお手伝いしてくれることでしょう。

加速に加え、時間差とダンパーとスプリングと慣性と操作ムラなどなどの織り成す技です。

言い換えると、サスペンションが伸びるのは加速だけの力ではなく、他力の力です。
ただし、それは一応、加速時の現象である。

ということです。

どうでしょう、納得できたでしょうか?

 

トルクロッドの効能

 

 

リアブレーキのフローティングロッドについて少し補足しておきましょう。

時代は、1980年台、パワー増大と油圧式ブレーキにより従来の方式の欠点が目立ってきました。

ドラム式にしろ、油圧式にしろ当初はブレーキパーツはスイングアームなどに適当に装着されていました。

その欠点とは、例えば、フロントタイヤを宙に浮かし、回転させて、フロントブレーキをガツンとくれてみればわかります。

結構な力がフロントフォークに加わります、ダブルディスクならともかく、シングルディスクでは走行に影響があると思われるほど振られます。

これがリアのスイングアームにも働くわけです。

これを、トルクロッドでフレームにつなげると、めでたくサスペンション状態です。

リヤタイヤのヨレになりかねない動きが、スイングアームの上下動に変わりました。

他にもリジットの特徴(デメリット)として次のようなのがあります。

  1. スイングアームの上下動するときにブレーキング(路面に対する制動)にムラが生じる
  2. ブレーキング時にスイングアームがボトムする方向に働く
  3. 強度の確保が大変
  4. バネした重量が増える

 

1に関しては街乗りで体感できるでしょう。
急制動ではなく、速度調整位の感覚でリアブレーキを充てていると、道路のデコボコなどでリアのスイングアームがスイング(上下)する時にブレーキ加減に村ムラが生じます。
実際多分これは不快に感じることでしょう。

2に関してはスプロケットとチェーンに関しての物議を同じことですね。

ブレーキング時にやはりボトムしてしまうことの損失について指摘されていました

3に関しては、応力を受け止める方向では強度が必要でありるのに対して、引っ張りでは
強度は最低限で済むからです。ワイヤーだってよいことになります。

 

これらは1980年ごろのディスクブレーキの実用化とエンジンの寄りハイパワー化にあわせて目に見えるようになってきた事柄です。

出だしのころは、そのさじ加減がわからず、たくさんの方式が試されたと思いますが1990年ごろには、そんなに騒がれていないというか、どうでもよくなてきています。

それはロードレースではリアのディスクはリアタイヤの自転を止める程度でよく、街乗りでは、ゆっくり走れば良いからです。

なので実は、街乗りこそ、フローティングの効果が大きいのではないでしょうか?

例えば、ジムカーナで、リアブレキーをガツンとくれると、オールで船をこぐような感じになる時などはこの特性のせいかもしれません。

アンチスクワット

実際には、アンチスクワット加減は直線ではなくコーナリング中での挙動、というかセッティング項目です。

ただし、直線ですらこの有り様なので、コーナリング中の様々な要素や、ライダーのコントロールしきれていない操作を鑑みると簡単には答えは出ないことでしょう。

ただ、実際には先に説明?したようにジオメトリーによるアンチスクワットというよりも、リアサスのアクティブダンパーにより設定される項目となってくるでしょう。

そうやってみるとアンチスクワットってただのダンパーのこと?

 

引き舵

技術的に正しそうなのはこれ?(根拠は英語で図がいっぱいだからです)

アンチスクワットについて

 

コーナリング時のダンパー加減や当て舵加減についてはYAMAHAの社員さんのこれにプラスして考えると良さそうですね↓

二輪車の操縦特性調査

上記論文中に「引き舵」という用語が使われていました。

さすが船舶も扱うYAMAHAとばかり調べたのですが、あまり検索結果に出てきませんが・・・

帆船関連のサイトで見つけました。

和船の説明のようですが色々と聞きなれない用語がたっぷりです。

舵(ラダー)の水面下の面積は現代のヨットに比べて広い。センターボード、フィンキールを 持たない和船の場合、横流れを防ぎ、風上への切り上がり角度を大きくとるためには必要であった。 舵は船にとっては、最も重要な部分であり、舵が壊れることは、漂流や遭難を意味する。 舵床は風上に進むときするとき(クローズホールド)、風下に下るとき(ランニング)と 舵の挿入位置(舵穴)が違っていた。それぞれ竪舵、流舵(引き舵)という。 舵柄(カッカ・ティラー)は舵のはめ合いの部分で曲がっており、竪舵、流舵でも舵柄が 上下しないで繰船できるようになっている。

串木野の小型和船(帆船)

 

んっ、YAMAHAさんと使い方が異なりますね。
この通りであれば、引き舵は操作ではなくセッティングのことです。
なんと自動車レースの起源といわれている19世紀後期(明治時代)に、すでに日本ではオーバーステア、アンダーステアの概念があり、セッティングの仕方を心得ていたことが判明しました。
ということで、めでたくオーバーステアと、アンダーステアの和訳が見つかりました。
アンダーステアを竪舵(たてかじ)、オーバーステアのことを流舵(ながれかじ)ですね。

たとえば、鈴鹿の1コーナーへの侵入時のアプローチを次のように言い換えられます。

「私の二輪車の操舵特性は竪舵の傾向があるので、鈴鹿の第一曲がり角では倒しこみのきっけかけで<取舵に当て>をおこない、すかさず<面舵を当て>を行う必要がある。
めんどうなので前竿の突き出し量を反寸(1.5Cm)増やすことで操舵特性を流舵にして第一曲がり角を<取舵に当て>のみで旋回を完了できるようにして、周回時間を千5百半刻(約0,5秒)縮めることに成功した」

いい感じですね。
これなら明治時代の整備士にも状況を伝えて調整をしてもらうことができます。
実際には…
往年の世界GPライダーの北野元氏(タイヤショップウルフ・モト)はどういう用語を使っていたのでしょうかね

 

まとめ

結局求めている効果は、ただのダンパーと同義、ということでアンチスクワット効果と言うのは実際至るところで発生しているような効果なので、「あまり大げさに考える必要はなかった」ということで、どうでしょうか?

 

では。

 

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