タイヤの空気圧とセッティング

いたって素朴な質問

「場面の違いに合わせてタイヤの空気圧を変えるべきか?」
答えはたいてい次のようなものです。

「タイヤの空気圧は指定空気圧を守ってください」

「タイヤの空気圧は指定空気圧の範囲内に保ってください」

これほどまでに質問者の質問とかみ合わない回答は少ないのではないでしょうか?

質問者は、必ずしも指定空気圧を飛び越えた圧のことを言っているわけではないのです。

何故なのか探ってみましょう。

そもそも回答は?

「色々なセッティングや場面の違いを感じてライディングを楽しむ」
これがオートバイの楽しみ方の1つであり、そう望むライダーに対して釘を刺す必要はありません。

よって、回答は、
「場面によって最適な空気圧は異なります。
よって場面によって空気圧は変えたほうが良いといえるでしょう。
まずは適正空気圧の範囲内で増減させて、違いを楽しんでみましょう」
とかが回答の1つといえるでしょう。

釘を差すことがあるとすれば、自責であること、周りに迷惑をかけてはいけないこと、
そして準備を怠らないこと。
エアーゲージはもちろんとして、空気入れの確保と、危険を感じたらバイクを止めて、元に戻すか、押して歩く決断力と体力が必要ということです。
でもこれは質問そのものとは別の次元の副次的な事柄です。

そして、回答は次のように続きます。
「様々な設定を楽しみながら、いわゆる指定空気圧に戻して違いを確認しましょう」
「そうすると設定の違いがわかりやすいことに加えメーカーの意図もわかるかと思います」
「そのうえで是非メーカーの意図した適正な状態を感じ取ってください」

「もしも違いが判らなかったら適正値に設定してしてください」
そして、次の結論に至ります。
「タイヤの空気圧は指定空気圧から変更する必要はありません」

そして、

「タイヤの空気圧は指定空気圧を守ってください」

「タイヤの空気圧は指定空気圧の範囲内に保ってください」

 

回答者は、途中経過をすっ飛ばしているのみばかりか、

質問者の楽しみを奪ってしまっているわけですね。
楽しみを独り占めしてしまっているかのようなものです。

自転車界の実情

参考までに、同類の自転車では最適な空気圧をアドバイスしてくれるツールが提供されています。

Vittoriaの「理想的なタイヤの空気圧は?」への回答

以下引用です。

理想的なタイヤの空気圧は?

適正な空気圧はたくさんの要素によって変わってくるため、特定のバイクやライダーにとって適正な空気圧を推奨することは不可能です。
フレームとホイールの素材・構造と堅さ、重量配分、アスファルトの路面状況、タイヤとチューブの幅・素材、天気と気温、そしてライディング・スタイルも、適正な空気圧を決める要素となります。 これらの観点から、下記チャートが適正な空気圧を見つけるための参考になりますが、これは決まったルールという訳ではありません。

理想的なタイヤの空気圧

ウェットな路面や荒れた路面状況の場合は、0.5bar (7.5psi) 減らして下さい。 チューブラーの場合は0.5bar (7.5psi)増やして下さい。

最適な空気圧は、路面状況や天候状態、バイクの素材やセットアップ状況、ライダーの体重やライディングスタイルなど、多くの要素によって変わってきます。 適切な空気圧を見つけるには、様々な空気圧で何度かテストしてみることが一番です。いくつかコーナーのある、短めのクリテリウム・コースのような場所でテストしてみるのも良いでしょう。

推奨空気圧で始めて、少しずつ走りながら空気圧を5psiずつ減らしてタイヤが少し窪んでいるように感じたら、それがあなたにとっての最低空気圧になります。 そして上記の適正空気圧まで5psiずつ増やして、タイヤが路面から跳ねたり弾みだすようになったら、それがあなたにとっての最大空気圧になります。 そこから5psiずつ減らして、コンディションに合わせてベストだと感じる空気圧まで調整して下さい。

タイヤの空気圧、路面状況やコースの詳細、天候状態、タイヤの種類、ブランド、TPI、使用したバイクとあなたのその日の体重などを一緒に記録して下さい。 その記録がレースの際に、路面コンディションに合った最適なタイヤを選ぶための効果的なツールになるでしょう。

ツールも提供されています。

適正空気圧計算アプリ登場!

たとえ自転車とオートバイでは状況も特性が違うとしても参考にはなるでしょう。

 

バイク界の事情

そんな中、ダンロップはどうかというと、

ダンロップのWebではタイヤの空気圧についてのページに次のように記載されています。

適正な空気圧を維持することで、タイヤ本来の性能を最大限に活かすことができます。
月に1度は空気圧を点検するように心がけてください。タイヤの空気圧は車種やタイヤの種類によって適正値が異なります。適正値はドア付近やオーナーズマニュアルなどに表示されていますので、ご確認ください。

 

モーターサイクル用タイヤ使用上の注意というページに「運転手の遵守事項①」というのに次のように記載されています。

装着後、グリップが安定するまで無理な走行は避けて、慣らし走行を法定速度以内で100Km以上行ってください

そして、その、「慣らし走行」については四輪のみについて説明されています。

タイヤの慣らし走行について

新品タイヤは使用初期、過酷な条件で使うとトラブルを誘発する恐れがあります。
また、寸法成長による発熱もしやすいです。
新しいタイヤに交換した際は、タイヤ本来が持つ性能を十分に発揮させるために、慣らし走行を励行しましょう。具体的な走行方法は、乗用車・軽トラックが走行速度80km/h以下/走行距離100km以上、小型トラックが走行速度60km/h以下/走行距離200km以上で実践するのが目安。
また、慣らし走行中は“急”のつく行動や路肩へのラフな侵入などは避けるように心がけてください。

……おざなりです。

 

この慣らしについてはモータージャーナリストの柏秀樹氏のBlogの「新品タイヤにご注意」を参考にしてみてください。

 

空気圧を増減した場合については次のように紹介されています。

回答ではなく、空気圧を変更することの特徴としては正しいでしょう

空気圧を下げると、

  • 燃費が悪くなる
  • ハンドリングが重たくなる
  • タイヤが痛む、寿命が縮む
  • タイヤの性能が発揮されない
  • 排水性が下がる
  • 発熱量が増える
  • 偏摩耗する
  • 段差の乗揚げ時にタイヤやホイールを痛めやすい

空気圧をあげると、

  • 安定しない、フラフラする
  • グリップが悪くなる
  • 偏摩耗する
  • タイヤの性能が発揮されない
  • 乗り心地の悪化

これはこれで、そうだとしても、何かを変えたくてウズウズしているライダー(質問者)にとって、この程度のことで引き下がりはしないということを忘れてしまっているのでしょう。

結論

バイクはそもそも乗りこなすことを楽しむ乗り物であること。
最高得点ではなく最低点の特性によって転倒したり、違和感を感じたりするものであること
そして全てのライダーは皆、平等にライダーであるので、取りこぼしは合ってはならないこと。
そのことから通常とかけ離れた場面から発せられた質問に対応することにこそが質疑応答の役目ではないでしょうか。
次項から批判色が漂い出します。
もう結構な方は次項はすっ飛ばして次回の「タイヤのセッティングの楽しみ方(予定)」に移ってください。

 

改めて、そもそもなんでこういう流れになってしまうのかまとめてみましょう。

回答は誰のもの

回答は回答者のためにあるのです。

回答とは、質問者の望んだ内容ではなく、回答者の答えたい内容であることを忘れてはいけません。

 

そのうえで双方のコラボでその時の回答が生まれます。

 

この質問が発生している場面での質問者の特徴は次のようなものです。

質問者の状況

質問者は大きな間違いをのっけから起こしています。

  • 質問したら正しい回答が返ってくると信じている
  • 性善説を前提にしている
  • 回答者の専門分野なので当然快く答えてくれるであろうと思っている
  • 知っている限りの情報をわかり易く教えてくれるものと思っている
  • 嘘は言わないだろうと思っている
  • 気軽に聞きすぎる
  • 聞く相手を間違えている
  • 自身の知識レベルが相手に伝わっていると思っている
  • 宣伝文句を真に受けてしまう
  • とにかく何かを変更したい、ということが伝わっていない
  • やるかやらないか、では無く、やるとどうなるか、という意図が伝わっていない

これらが、回答者には伝わっていないのです。
質問者が勝手にそう思い込むのに加え、回答者も同様に勝手です。

回答者の状況

回答者の思考が次のどれかに当てはまれば、もう質疑は成り立ちません。

  • 回答者は必ず質問者の臨んだ解答を言わなければいけない責務はない
  • 回答者は、必ず正解を言わなければいけない責務はない
  • 回答者は、自分のために答える
  • 質問者は「指定空気圧」という基本的なことを知らない初心者だと思っている
  • 面倒くさいと思っている
  • 時間内に説明できないと思っている
  • 質問者には理解できないと思っている
  • 質問者が気に入らないと思っている
  • たまたま機嫌が悪い
  • 速く切り上げたいと思っている
  • 立場上言えないこともある
  • 興味本意や暇つぶしに実際にやりもしないことを聞くな、と思った
  • 指定空気圧を推奨している手前がある
  • そのタイヤを作ったメーカーだから推奨値を推奨したい
  • 自分がその指定空気圧を決めた

回答者には回答者の事情があるということです。
例えば、私が今どこかのバイク関連からスポンサードされていたとしたら
もう迷うこと無く解答は決まっています。
「適正空気圧で走りましょう」

スポンサーさんに迷惑がかかるようなことは避けるべきだからです。
適正空気圧以外で転倒したら「運転が未熟」だけでは済ませられなくなるからです。
不適切なアドバイスが原因と言われかねなくなるからです。

タイヤメーカーにしてもそうです。
「タイヤに関する質問は何でも聞いてください」
これは、普通の人に対してのアナウンスです。

メーカーの作った商品に対しての、例外的な質問は嬉しくないのは当然です。

メーカーの推奨する値からは外れる質問は、質問そのものがメーカーの技術力を疑っているように取られてしまうかもしれません。

レース関連にしたって同様の事情があります。
タイヤのポテンシャルを発揮できるような走りをしてほしいのです。
「遅いけど安全」についての応答には熱が入らないのもしょうがないでしょう。

 

質問者だってライダーである

本来取りこぼしはNGです。

もしも質問者が、自身の置かれた状況の上で、質問を発していたとしたら、それはとにかく事実だということです。

この時点で統計や、偏差値や、試験で良い点を取るための解答や、世間体や、免責などの平均的な解答では役に立たない場合があります。
取りこぼしや、落ちこぼれや、未熟者を振り落とすための答えでは逆効果なのは明白です。

回答者だって人間である

とはいえ、回答者は、何でもかんでも知っているとは限らず、質問者のおかれた場面を理解できないこともあり、理解できたとしても回答がわからない場合もあるわけです。

そして、わからないと答えるか、適当にお茶を濁すかは回答者自身の気分次第です。

 

質問者の落ち度

肝心なことは最初に回答者に落ち度がないことを知ることです
回答者は何を言ってもいいんです。
あなたに雇われているわけでも、服従を誓ったわけでもないでしょう

質問者は望む内容を回答する回答者を選ばなければいけないということです。

望んだ回答が得られない場合は、相手を変えることも視野に入れたほうが良いでしょう。

 

タイヤで遊ぼう

結局のところ、こうである。

  • 温度によってタイヤの特性は変わる
  • 空気圧によってタイヤの特性は変わる
  • サスセッティングによってタイヤの特性は変わる
  • ライダーの特徴によってタイヤの特性は変わる

そして、肝心のライダーは、
転びたくないのは当然のこと、バイクを乗りこなしたいと思っている
のである。

サスセッティングを行うのであればタイヤの特性を知らないといけないし、
タイヤの特性を知るためには実際に特性を変えて特性を知る必要がある

「タイヤの空気圧ではなくサスセッティングだけで対応可能」だとしても、まずはタイヤの特徴を知らないと始まらないのです。

 

そもそもいろいろ試したいのである。

ということでタイヤで遊びましょう。

空気圧の測定

ところで、肝心の空気圧ですが、様々な場面でこまめに測定、調整し情報を残しておきましょう。

四輪はエアセンサーが装備され出してきたりしますが、二輪でも標準装備なバイクもあるのですね。

 

 

KAWASAKI1400GTRは空気圧センサー標準装備!

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四輪用で使えそうなのはコレ、レシーバーがバッテリー(電池)駆動であれば二輪でも使えるでしょう。

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バイク(自転車用)のBTPSはこれが面白そうだったのですが2013年のまま更新がありません……

自転車のタイヤの空気圧がiPhoneなどを通じリアルタイムでわかるシステム「BTPS」

 

エアゲージは結局プロ用を購入するほうが安上がりだったりします。
差込口の形状がストレートか横向きのどちらが適しているか確認してから購入しないと痛い目にあいます。

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自転車用携帯ポンプという手もあります。

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それでは

タイヤの空気圧とセッティング でした。

 

次回はタイヤの空気圧でセッティングを予定しています。

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