その心地よい響きとともに、ひとたびそのエリアに入り込みさえすれば幸せが舞い降りると思われているスリップストリームが、実は大変な危険と隣合わせのチキンレースだということはあまり知られていない。
実際に利用しているレーサーですら理解していないのでは?と思うのでここで改めてふれます。

スリップストリームの解説図

スリップストリーム(スリップ)のその状態のことは他の記事でも紹介されています。それはどうでもいいです。
それを利用して抜くためにはどういう状態が必要なのかが分かっていないのではないでしょうか?
スリップについてしばらく一緒に走りそのまま横にでれば抜けると思っている幸せ過ぎて不幸なライダー・ドライバーがいる。まして傍観者のほとんどの方がそうではないでしょうか?

改めて言及すると、抜くためにはスリップから抜け出る時点で、必ず前の走車とプラスの速度差が必要です(加速度ではありません)。
その速度差(キープ、あるいはその後増減するにしても)と残された直線距離で前者を抜けるか、引き下がるかが決まります。
例えば3.6Kmの速度差で横に並べたとしてそのときの車速が180Km、 車体の長さが5mだとしたら横に並ぶまでに5秒、距離にして250mも必要な計算になります。
ブレーキを開始するポイントの250m前にはスリップから抜け出していなければならないことになります。
速度差が倍の7.2km差があれば125mになります。
この時点でスリップに付きさえすれば抜けると思っている幸せな人の希望はかなえられないことがお分かりかと思います。

たとえば筑波でスリップストリームについて抜いているように見える車は、そもそもプラスの速度差を持って近づき、ついでにスリップも利用している程度だと思った方が正解でしょう。
「スリップに付いたから抜ける」と思いパッシングを試みるが失敗するという、結果的に自身の失望とライバルに自身を与えるような、無駄な行為をしなくてすみます。

あればあるほど優位なこの速度差を生み出すためには、先ほどの例で言うと180kmの速度で走行している前者に追いつき、スリップストリームの効果を最大限利用するためにぎりぎりまで背後で我慢をすることが重要なテクニック(度胸)となります。
レース全体の中で一番接触の可能性が非常に高い、大変危険な状態だと思いませんか?
ストックカーレースのようにぶつけても大丈夫な車はともかく、F1やバイクレースの場合はレースや命を簡単に失ってしまう場面です。

さらに危険なのはこの状態について練習不足であるということです。
視界的な感覚は、停止している車体にゆっくり近づきことで再現可能ですが、ハンドリングの感覚は実際にその速度で走らないと練習できません。
その上スリップストリームの効果による加速度の違いを敏感に感じ取りことが出来ないと、前者に接触してしまいます。

上記を理解したうえで、改めてスリップを利用して前車を抜き去るための練習をしましょう。
上述のことから、ハイスピードはもちろん、低速時の速度感覚もその勝敗を分ける要因となります。
「ライントレースの前にする練習 その2」も参考にしてください。

そしてあらためて「スリップストリームの抜け方」を読んでほしい。
・・・ね。

では・・・


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