とんでもない才能の持ち主現る

優れた才能を持った新人類、例えばマルケスみたいのが現れたとき、その新人類に追いつくためにはどうすれば良いかが話題になります。
が、それは無理ってもんです。
出遅れたうえに追いつき追いぬくにはどうすればよいかなんてを考えることって、その新人類よりもさらにすぐれた才能と運を持っていない限り無理な話です。
こういう時は、素早く見切りをつけて同種の新人類を発掘するのが適切な対応ってものです。

じたばたしたかったら、少なくとも正しく評価して、正しく解析して、最適な手法を導き出すことぐらいのことが出来ないと追いつく資格はなく、短時間で最適な対応をしない限り単なる足元君になってしまうことでしょう。

正しい評価

バランス能力とか、転倒回避能力とか、術なのか、魔法なのか、奇跡なのか、まずはそれがどのくらいの物なのかを特定しないといけません。
私は、ライダーが限界時の適切なデータを収集し提供することに成功して、チームはそれにセッティングで応え、ライダーはそのセッティングを活かした乗り方ができた!という様な事が平然と行われているだけ思います。
それらが才能だというのであれば、それは生まれ持った才能ではなく、恵まれた育ち方をしたからだと思います。
例えば、すぐれた転倒回避術をたまたまもって生まれた、なんてのではなく、正しく育てばそのくらいのことはやり遂げてしまう!ということだと思います。そしてどちらかというとそんなことには関心がなく、もっと先を追い求めてるようですし。

じゃあどう育てばよいかというと、他のジャンルのスポーツや芸術を極めた方々のセオリー論見たいので次のような言い方をしているものがあります。
「正しいことだけをやりなさい」
これには反論がたくさんあるのですが、その程度の人間にしかなれない人たちの反論と思うほうが建設的です。
何が違うかって、選択肢が厳選されているので判断・反応スピードが違います、迷いもないことから自信というか力強さも違います。そしてもちろん正しいのです。

ということで、ぶつぶつ言ってたりとか正しくない評価をしている人は追いつけません。

正しい解析

フロントタイヤがブレイクして転びそうになる時の挙動としてステアリング(=フロントタイヤ)が外側を向くときと、内側を向くときがあります。
まずはここから解析してみます。
※もしも間違っているとお思いでしたら、その正しい解析で解を導いてください。
※ブレイクという言い方を多用していますが、滑るとかスライドって正常な時でも起きている現象なので、予想外な状態のことをここではブレイクと呼んでます。
※凸凹を考えなくてよいフラットなコーナーという前提です。

ブレイク中にフロントタイヤが外を向くとき

コーナリングを攻めすぎて、フロントタイヤ(ここではフロントタイヤのみ)が限界を超えてブレイクしだしたときやブレイク中の時に、フロントタイヤがブレイクする前に比べて外側を向いている状態になることがあります。

この状態の構成要素名は、横G、重力G、縦G(前後方向のことを縦Gというらしい)、横スライド、縦スライド、スライドスピード、コーナリングフォース、面圧、グリップ力、路面抵抗、その他です。

これはコーナリングフォースが機能しているということです。回頭性も正常だということです。
フロントタイヤ的には全然ブレイクではなく絶好調な対応と言え、その結果転倒してしまったりするのはライダーとマシンが俺様についてこれないからです。

横方向だけで見ると「横スライドの増加の際に増加する前に比べてグリップ力が上がり、その結果コーナリングフォースも上がったのだけど、進もうとしている方向の割に切れ込み過ぎだから少し外側を向いて帳尻を合わせよう」とタイヤが頑張っているところです。(グリップが減ってしまった時には回頭性が表出してきます)

この時の横スライド量とスライドスピード、増加したコーナリングフォース、これらのつり合いの取れた状態が今起こっていることと言えます。
適正な数値に収まれば転倒しないで外を向いたままのコーナリングは可能だし、実際に観察できたりします(リアがスライドしてそう見えるのとは別物です)。

例えば「タイヤのグリップ力はスライド率が30%の時に最大なる(仮定)」とかいうデータがあったら、「タイヤがどっちを向いていようとこの状態が最高のコーナリングができる」と想定出来たりします。

つまりそもそもスライドしないでコーナリングしているときにスライドしだしたら、それはグリップ力がスライドする前よりも高くなるということになります。
その結果スライドする前よりもコーナリングフォース必要以上に高ってしまうので外を向くことで帳尻を合わせようとするのです。

フロントタイヤが、通常のコーナリング中にスライド率が30%以上あるなんてのは考えなくてよいと思うので、
つまり正しく加圧できていれば「コーナーを攻めるにつれてステアリングは外を向く」ことになります。

なので、肝心なことは、これらを数値管理することです。
横スライド量イコール横スライドスピードと実際に進む方向とで転倒しないような最適な割合にとどめいないといけないからです。
ということは、横スライド量の最適値を超えてもまだ、リカバリーの余地を残せるということになります。

で次に考えないといけないのが重力Gです。
正しくコーナリング出来ているときには横Gはまあまあ一定なのに対し、重力Gは大きく変化する場面が想定できます。

で、当然重力Gが変化すると面圧が変化しグリップ力も増減したりします。

このことから「毎回フロントが外側を向きながら転倒してしまうという場面での対応」での検討事項は面圧を上げることが出来ないか?です。
あるいは面圧コントロールで安定してその場面を切り抜けることが出来ないか?です。

そこでたとえば、突出し量を増やしてみよう なんて思ったりします。
その結果は、たいてい思わしくありません。
そのセッティング変更の特徴の一つである「回頭性が上がる」ことはこの場面での目的ではないからです

ブレイク中にフロントタイヤが内側を向くとき

無駄に回頭性を上げるとこうなったりします。
もちろん路面のギャップとかでもなりますが、ここでは綺麗にフラットな状態で考えてください。
内側を向くときの特性は二つあり

チャタリング系と、グリップアンドスライド系です。
チャタリング系はセッティング的に外している感があるので、まずはセッティングで治します。(このくらいは修正できないと論外ということで)
チャタリング系で転倒しそうになった時の転倒回避術なんてのを模索するのは見当外れということにします。

で、グリップアンドスライド系では、タイヤは回頭しようとしているのですがマシンはまっすぐあるいは外側に押し出してしまう状態と言えます。
四輪車の前タイヤみたいな感じと言えます。
プッシュされているとかいう感じでしょうか(本当は外側から引っ張られている感じですが)。
この状態って、どちらにしても折角の二輪車の特性ってのが全く生かされていない状態だと思うとよいでしょう。
フロントタイヤ周りではなく、乗り方やセッティング、バンク角やタイヤの太さや前後のスライドとかの問題です。
この時の転倒回避術ってを習得するのもありだとしても、周りにライダーは普通にセッティングの出ているバイクでもっと早く回ってしまうと思います。

ブレイク中にできること

どちらの場合でも持ち物はほぼ同じ、マシンの持っている特性を利用するか、ライダーが自力で何かするか、何かするをやめるかです。

簡単なのは、ブレイクしたときに軽い抜重状態になるのを利用することです。
マシンもそうですが、特にライダーは時間差を持った文鎮的な動きになってしまいます。
基本的に必ずこの動作(挙動)が起きてしまうということです。
これを利用しない手はありません。
短所ではなく長所として利用するのが正しい方法となります。
そしてこの動作というのは、多分に反射神経とかバランス能力とかを発揮して何らかの筋肉運動をさせるよりも早くに始められると思います。そして単純な物理的な反応と言えるので、ライダーによる予測不能な反力がない分安定的だと言えます。

その結果で都合がいいのは、フロントが外を向きそうなときにはマシンが起き上がるような挙動になる乗り方、
例えばライダーの上体がイン側に落ちていくような動きになるライディングをしていると良いでしょう。
例えばこの間の70度を計測した時のマルケスみたいな。

で逆の場合は逆に状態が起き上がるようなライディングが良いでしょう。
起き上がったところでついでに押しつけるなどして加圧させるとグリップ力も回頭性も上がったりすることでしょう。

単純なポジションに加え、手・脚・腰とマシンをどのように接続しておくかでもコントロール可能です。
加圧なのか、リジットなのか、ねじりなのか、加えて細かく押したり引いたりする周期運動も有効です。

ジムカーナ場で習得しましょう

で、上記はサーキット場でも体験できるし、対策を試したりできますが、とにかく非効率です。
金銭面と身体を痛めつけてしまうという面で。
一番の問題は、限界ギリギリの走行をしにくいということが上げられます。

たとえ怪我をしないとか、死ぬほどじゃあないと保証されていたとしても、そう簡単に実行できないのがサーキット。
最悪なのがRが決まっているのでアプローチが正しくできないとその先に進めないという初心者には悲しい特性です。

なのでジムカーナ上とかでパイロンとか置かずに、そして低速で試しましょう。
リーンアウト系は結構シビアだったり腕力操作になりがちなので、リーンアウト系で試せるような低スペックなタイヤとか細いバイクがお勧めです。
普通にジムカーナの練習になってしまいがちですが、フロントをブレイクさせることのみに専念すると割と短時間で実現できると思います。

正しく育つ

で、肝心なのはこれらを無難な位置で待ち構えるということです。
ふり幅を持たせたり、楽なポジションとかでできるようになることが望ましいです。必要ならマシンセットアップも行いましょう。
どれかに特化するのではなく、何が起きても大丈夫な位置にいることで、何かが起きたときの補正が、最小限の労力で可能になります。

ジムカーナとサーキットでは次元が違うとか一刀両断されますが、「低速でできないことは高速でもできないし、いきなり高速でやり方を試すのはリスクが高い」ので外野は無視しましょう。

先のジムカーナ場でブレイクの練習をして体験できたとしても、バイクが変わったりとか環境が変わるとと、全然操作方法が違ったりします。
でたくさんのパターンを経験すると、共通して有効な手法やポジションとか、都度の変更箇所などが見えてくると思います。
それが無難な位置という物だと思います。

そうして、適切な位置で適切な姿勢や操作で待ち構えていることから始まって、うまく対応出来たり、うまくいかない時の状態を適切に説明出来たりするようにしてすくすくと育っていけば、ある日サンタのプレゼントが届いたりするかもしれないということです。

とにかく自分の思った通りに仕上げたいという我儘で通用しているうちはまだしも、通用しなくなった瞬間からスタッフが望んでいる結果や数値を提供できるように切り替えることが必要でしょう。(だから我儘坊やより、すくすく育った素直な坊ちゃんのほうが、悔しいけれど成功する)
複数人で対応したほうが育つスピードだってけた違いになると思います。

 

では、頑張ってマルケスに並んでください。

今ではなく先の話のほうが、逆にマルケスがロートル化していてラッキーかも。

もちろん目指すのは、物事がなぜかすべてうまくいく、という一見ただのラッキーマンみたいに見えるように準備をしておくということです。

でやることをやりつくしたうえで、マルケスのバランス能力とか転倒回避術とかをみると、マルケスの実力が正しく評価できるでしょう。

 

 

以上

前回の続きで「バランス能力とか転倒回避術とかを話題にする前にすること」でした。

マルケスが行うマジックを単純に真似しようとするからやれバランス能力だとか転倒回避能力だとかに先走りますが、それではなく、基礎的なテクニックやトレーニングをどのようにして学んだかということを話題にすべきでしょう。

それから対策を練ればそれなりに先が見通せることでしょう。

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